落日、溶けゆくもの/LEO
 
丸みを帯びた光は
瞼を下ろすたび
その裏に
微かな影を描く

碧さを含んだ風が
誘いかけても
膝を抱えたままの両腕を
微動だにしないで


 閉じたままでは
 何も見えない

 塞いだままでは
 何も聞こえない

 噤んだままでは
 伝わるわずもなく


夏を告げる鳥の声
羽ばたくごとに
 ぽとり
  ぽとり
と、 桐の花

梢の先で
蒼く揺れたのは
この背中だったろうか
触れようとせず
ただ
夕闇となる
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