歩道橋/セキラボ!
 
『歩道橋』


ミドリは歩道橋の上で佇んでいる
髪の毛が寒風で揺れるのを抑えて
雪がどんどん積もるのを見ている


太陽は吹雪の奥で 霞んで 揺らめく
ミドリは あれは私だな と独り語ちた


ミドリは良い子だった
誰にでも微笑み 誰にでも話しかけた
友人に話題を合わせる
すると時々
私は何をしゃべっているのだろう と
顔がしびれた
本当は 独りになりたかった
本当は 沈んでいた
でも それでも
ミドリは話した
寂しかった


ケンジ君を想っている
けれども ミドリは目を反らした
ケンジ君が性格ブスの女と話していて
その女が可愛い声を出してい
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