「ゆう」/ふるる
そちらを振り向いた。}
もういない人の時は
よせてはかえし
のこされた者は
足跡も残らない砂浜を
歩きつづける
「見せたいものがあるんだ」
夕暮れの砂浜
風景のように佇む二人
背中合わせで
時は再び、
のこされた者は
足跡も残らない砂浜を
歩きつづける
パレードの列に加わることもできず、けれど拒まれることもないままに、
わたしたちは砂浜に立っていた。
海は
美しくも儚げな
歌とも音楽とも言えないものをしていた
二人はむかし
一人だったり
二人だったり
三人だったり
四人だったり
していた
そして
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