「こもれび」/まほし
目を閉じて見つめる
記憶の中・・・・
小さい頃のわたしが
若葉の蔭で
耳を澄ましている
「何を聴いているの」
と たずねたら
「こもれび」
と 言って上を向いた
見ていたんじゃない
(水晶質の日射しが
黒目を貫いて痛くて)
瞼はじっと閉じていたけれど
心は光の果てまで広がっていた
たしかにあの日
「こもれび」
を 聴いていた
葉ずれの音じゃない
小鳥の唄じゃない
もっともっと高くで
鳴り響いているもの
眩しい未来から
ささやきかける
・・・・幻
今も耳を澄ませば
脳裏に木霊する
「何を
聴いているの」
と たずねる声がする
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