『柑橘系の簡潔な朝の叙述+PS』/川村 透
1. 太陽のひとしぶきが僕の額に夏を刻印する夜明け
2. 僕はパジャマの袖を不器用にたくしあげながらテーブルに付く
3. 風のブランコに押されてレースのカーテンが膨らみ高まってゆくキッチンで
4. 君が力いっぱい、柑橘系の耳たぶを赤らめたまま
5. 誇り高く張りつめた果肉をスクゥイ−ズする、時
6. 僕たちはゆっくりと皮膚呼吸を繰り返し朝のシステムを立ち上げてゆく、そして
7. 僕という名のナイフは熱を帯びたひとつのホーリィなビートに寄り添おうとする
8. 甘皮を噛むようなかゆみともどかしさ爪を濡らす果汁の予感に撃たれ震えながら
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