貴女のこと/クローバー
 
見せずに。

ある日、なぜ夜に抜け出すのか聞くと
「眠れなくなってしまうから」
とだけ、答えた

そしてそんな日々が、2ヶ月過ぎた

その日の朝も当然のように、寝床には姿がなかった
またふらりと帰ってくるだろうと思っていたが
しかし、帰ってくることはなかった

「気分が変わったのだろう、帰ることができてよかった
 こんなところにいても、しょうがないんだ。よかったよかった・・・」
と、口に出していた自分が、返事を待っているのに気づいた
眠ることを、できないでいるのに、気づいた
貴女の部屋から、寝息が聞こえる気がして、何度も覗いた

二日後、帰ってきた貴女は、見るか
[次のページ]
戻る   Point(1)