夜色をした猫と眠る少女の/夕凪ここあ
少女が、朝起きだして
足もとで夜の色をした猫の背を撫でる
まだ体温もあがらない内に
手のひらに忍び込む温もりに少し汗ばむ
私の温度ではない、と気づかないまま
薄いカーテンの裾を引く 細く伸びた腕
窓の外で今日、は呼吸するたび削られていく
少女は大人と呼ぶには幼いが
明日に触れない程度の未熟だが丁度いい速さで。
それでも少女の細い腕は
少し薄暗い部屋で、
夜色をした猫が
窓枠ひとつでせかいと切り取られた少女の腕に尻尾を優しく纏わせて
ちりん、と澄んだ鈴の音にも
気づかないくらい澄んだ瞳をした少女は
窓越しに朝を唄いに来た小さな鳥を眺めて
猫は軽
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