丘に立つ/夕凪ここあ
 

そこに描かれた景色が何処だったかわからない、
わからないまま私がまた透明に近付いていく、
あなたが過ごす昼下がりに。


あぁ、透明はそんなに哀しいことではないよ




丘に立って
考えごとをしていたら
私が溶ける日がやってきて
すぅっと お母さんのような温もりの風が吹いて
私の足が腕が指先が透明に千切られていくのを覚えた
風に乗って私のいた場所を見ると
あれはいつか絵に描いた桜の木
私は生まれて 花びらになって 今度こそ
声こそないものの一枚の手紙になって
私は





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