@ホーム/貴水 水海
反対側のホームで君をみかけた
何年ぶりだろうか
初めての恋らしい恋
付き合いらしい付き合い
喧嘩もしたけれど
いつも寄り添っていた
譲れない所もあったけれど
分かり合っていた
なのになぜ
だめになってしまったんだろう
君との間はダイヤモンドのように傷付かないと
二人信じてきたのに
何も言わず君が鍵を置いて
僕はなにも言えなかった
君が乗る電車は反対に進む
君を待つ人はいるのだろうか
今さら僕が考えてもしかたないのに
君の事が突然心配になった
反対側のホームにいる君に
聞くわけにいかないけれど
反対側のホームにいる君を
待つ人はいるのだろうか
僕の乗る電車が走り込む
僕は待っていてくれる人がいる
君の乗り込んだ電車が走り出す
僕も今
愛する人のもとに帰るけれど
君も愛する人のもとに帰るのだろうか
僕は元気で
君のお陰で大人になったと
胸の中でつぶやく
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