自分のための幸福論/腰抜け若鶏
 
昔は、どうして俺はこんなに不幸なんだろう?といつも思っていた。
すべてが思い通りにいかない世界が憎くてたまらなかった。

今は、そうでもない。思うに俺はこの世界というものを知らなすぎたのだ。
自分の頭の中にある幻想を(それを理想と言うのかな?)
この世界に無理矢理当てはめようとしていた。

もちろん俺はこの世界のすべてを知ってるわけじゃない。
けれど大抵のことは思い通りに動かす術を心得ているつもりだし、
不可能なことは初めから望まないようにしている。

おかげで最近、絶望というものを味わわなくなった。
一見最悪に見える事柄でも反対側に思わぬメリットが生まれていたりするものだ
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