群青/松本 涼
僕の足がどこにも
繋がっていないことを知って
僕はもう地上にいるのをやめた
最初は虹色の太陽の近くで
出鱈目な言葉で歌を歌ってみた
歌は散り散りに流れて
僕の中から出鱈目な言葉が消えた
それから瀞(とろ)みの海に潜って
群青の花畑で昼寝をした
海底の花たちは僕を包んで
群青の夢を見せた
夢は目を覚ましても続いたので
僕の中から現実が消えた
そうして僕は浮いたり沈んだりしながら
不規則な空間と時間に生きている
地上に居た頃が時々少し懐かしいけれど
それほど今と変わらない気もする
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