日曜日には坊主頭がお勧めです/カンチェルスキス
 
屋に戻ると、
「今日も働いたなァ」
 とつぶやき、首にかけてた便座を洋服掛けに掛ける。
他にもいくつも色とりどりの便座がぶら下がってる。彼のこれまでの戦果だ。爪の先みたいな箇所にそれぞれマジックで日付が記されている。例えば、「date 1999/3/3.場所、東京ドーム(は東京ドーム一個分)」というふうに。
 彼のささやかな夢は、海の見える芝生の公園で恋人と便座を投げ合うことだった。
「そぉーれー、ちゃんと取れよー」
「んんもう、もっとゆっくり投げてよー」
「ごめんごめん、もっとゆっくり投げるよー」
「うんうん、そうしてよー」
「ほら、これはどうだー」
「もっとゆっくりー」

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