月の夜道をひとりで行けば(うさぎに出会う)、/夕凪ここあ
 
月の夜道を行ったって
どこに辿りつく訳でもない
ただ
視線を先へと伸ばしても
あの光は遠すぎて、見えない

月の夜道を歩いたら
立ちすくむ銀うさぎ
あそこから来た訳ではない、と言う
君と同じだよと残すと
夜の先へと消えてしまった

ひとりきりで見上げれば
私はもう忘れてしまっていた

月の裏側を見る方法も、見たいかどうかさえ

いつからか自転車を乗り捨てた
ゆっくりと呼吸に合わせて歩けば
何かあの光に指先が触れる気がした あの日よりは近い

月の夜道は
今日も私の前を行く
うさぎが消えていった方向を真っ直ぐに見据えると
ちゃんと自分の家へと続いていることがわかる

こんな簡単な日常を
見えるか見えないかほどに

月の夜道は
今晩は。
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