私/db
 
ゆたうように、いつかは島に辿り着くのだろうとあぐらをかいていたのです。しかし現実の波はそれを打ち消しました。私は選ばれた者ではなかった。私はどこにでもいる、ただの人間だった。子供から大人になってみても、私は変化することがなかった。

 私は失望しました。認めても尚変化のない自分に。それで変わるものだと思っていました。道は開けるものだと思っていました。しかし一向に気配はありません。私は私のまま、私の舟は波の上で止まったまま動いてはいません。望んだはずの世界は蜃気楼ですら見えはしなかったのです。悲劇のヒーローを気取った私にとっては当然の結果でしょう。

 何度も。何度も自分が成功する夢を見まし
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