水を含む世界にて/千月 話子
水見える能力
ある晴れた日の空の下
干したばかりの洗濯物の
内包された水溜りを
始めて見たのは 何時の事やら
いくつもの柔らかな固まりは
それから数時間かけて
風に撫でられ 風に放られ
「水の小石よ 空のつぶてよ」と
陽は歌い 陽は誘い
飛沫に成り果て 吸収された
良く晴れた日の空を仰ぎ見ては
誰にも眺められない
水の光りの上昇するダンスを
うっとりと見詰め
五月の清々しさ 陽と水の対比
それらの素晴らしい事を感じては
密やかに 微笑する
水の星
少年達は、昔森へ行き
眺めの良い大木に登りて
頑丈な枝の上
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