水を含む世界にて/千月 話子
 

   水見える能力

ある晴れた日の空の下
干したばかりの洗濯物の
内包された水溜りを
始めて見たのは 何時の事やら


いくつもの柔らかな固まりは
それから数時間かけて
風に撫でられ 風に放られ
「水の小石よ 空のつぶてよ」と
陽は歌い 陽は誘い
飛沫に成り果て 吸収された


良く晴れた日の空を仰ぎ見ては
誰にも眺められない
水の光りの上昇するダンスを
うっとりと見詰め
五月の清々しさ 陽と水の対比
それらの素晴らしい事を感じては
密やかに 微笑する



   水の星

少年達は、昔森へ行き
眺めの良い大木に登りて
頑丈な枝の上
[次のページ]
戻る   Point(10)