もうちょっとなんです/ベンジャミン
もうちょっとなんです。
海鳥の白い背中が雲間からこぼれる陽を滑り、調度波の波長と重なるようにゆるやかに漂っているのを見ました。
(白い午後)
波打ち際には、打ち上げられたクラゲがゼラチンの柔らかさを内側に隠したまま陽に焼かれています。
(タンカーと水平線)
右も左もわからないまま進んでゆくのは、地球がまるいからなのでしょうか?それでも、そのときどきの正解と間違いがあることを僕たちは受けとめなければいけません。それは僕たちが常に境界線上を生きているからです。
もうちょっとなんです。
海鳥がまるで風に飛ばされたハンカチーフのように、きっとサヨナラは言わないけれど、僕は少しだ
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