あの頃の口癖/快晴
あの頃、僕らの口癖は
「何かいいことないかなぁ」
規則だらけの学校が終わると
結局いつものゲーセンで
そんな言葉を呟いている
誰か一人が口にすると
それはたちまち仲間達に伝播して
誰もが口を揃えて
「何かいいことないかなぁ」
「何かいいことないかなぁ」
でもあの頃の僕らには
その「何かいいこと」も
ひどく漠然としたイメージで
結局何を求めてるのかすら
誰も分かっちゃいなかった
何度も聴いたレコードに
読み散らかした小説に
穴の空いたジーンズに
ガードレールの落書きに
あの頃の僕らが生きている
僕は心の中でみんなに尋ねる
「何かいいことあったかい?」
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