灰虫想起/半知半能
蓮の花に
灰色の虫が
はり付いている
東から
日が昇るころにはそれは
干からびているだろうに
必死な鈍行路を
否定せず
飄々とある
フランスには
不正を許さぬ検事がいたが
粉飾された終末への帰路を
ふさわしい人生だと思っただろうか
不覚にも道端にて
腐乱した虫を
踏みつけた日もあった筈だ
平行した二生物の交差点
蛇の頭と尾の消尽点
霹靂たる些事に満ちた地球上
豊満な検事夫人はその日
本当の原因など知らずに
発作を起こして死んだ
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