ennui/駝鳥
つの穴を指差して「ボタン」と教えてくれた)
ワッカの付いた細工物の銀盤… それから…
「大きさを比べてみよう…」
呟きつつお魚のボタンを重ね合わせる
「こっちのほうが大きい…」
母親は豆を挽き終わり袋に詰めた後も私達に声をかけない
言葉が途切れたのを見計らって立ち上がる
レジを済ませ「バイバイ」と手を振った
…こちらを見ない
さっきまでのように退屈げに空を見つめている
意図的な何物をも感じない
母親の仕事が終わるまで ああして座っているのだろう
一時の暇つぶしに彼女に話しかける客が 私の前にも来て
そして 私の後にも来る …
店のドアの手前でもう一度振り返って観る
彼女は傍らに置いていたカラフルな枠のサングラスをかけていた …
(2004.7.6)
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