啓示/葉leaf
「樹を」
折れてゆく私の直線をめぐって溶け出す樹々、の泳ぐべき海の直線。泳ぐのは海、ひらくのは海。樹の斜線は海を分解して新しい樹々の斜線を生産する。いくつもの遠さに囲まれながら樹はかわくのをやめない。このかわいた遠さが私と樹とをひとつの空間にまで高める。降り続ける私をはじく樹の円からさらに内側へと下ってゆく化石の円だけが、世界の直線を越え出ている。
「見なさい」
見えるものは次々と見えないものを変換してゆく。見えないものはどこか船に似ていて、船首さえ見つかれば見えるものになる。私はもっとも見えないものであり、見えない茎をつないで見えるものを養っている。見えないものが辺り一面を埋め尽くすと
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