欺瞞の坪庭/あおば
ぎゃっと
言って
飛び跳ねたのは
蛙のような男
ひっくり返ったのは
瀬戸物の青がえる
緑の館にすむ者たちがイカレタあとで
笛吹童子が廃品回収にいそしむ毎日
退屈だなぁと
鳥山明の描いた靴が
くっくっくと腹を開いて
焼き魚定食を誂えて
そこら中の焼き缶を潰す
やきかんやきかん
果物屋に忍び込んでつぶれた
顔のない男が
焼き缶どんぶりに躓いて
空見たことかと
べそをかく
顔のない蛙
唆されて
富士山に登ってみたが
観光客ばかりで
絵はがきを買って
一人寂しく下山した
帰途、冷たい雨に降られて
滑りやすい石ころ道を
達観した者も
そうで
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