黒崎にて/k o u j i * i k e n a g a
の思い出だけで
イベリコ豚も、もういない。
黒崎そごうのおもちゃ売り場に呼ばれた俺は
「あの子、セイントセイヤが好きやったけんね」
うん、確かにそうだった、
変なズボンをはいていた同級生が言った
「アヒル口の女の子ってかわいいよね」の意味も
よくわかっていないまま、笑った。
(二)
大人になった彼(姉と二人暮し)は
「作品の中で少女を殺しすぎた」俺にそう告白し、
しばらく後に塩豆大福で窒息死した
事故か自殺か、未だにわかってはいない。
学生だった頃、駅を出て長い階段を下りたところで
醜く太っていて、サスペンダーと蝶ネクタイをした
男に声をかけられた
公然わいせつ以外のすべてのこと
をしないか。
拳が弱いので、ハンカチはいつも
持ち歩く。
鼻は横から殴るのがいい、
とてもよく効くし、殴る方も怪我をしにくい。
黒崎から筑豊電鉄に乗り換えて、
お土産を買っていないことに気づく。
黒崎そごうは、今はもうない。
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