お話と呼ばれるものはいつだって 甘く、一瞬で溶けてしまう幻想の 金平糖と同じ形をしていたあの日 お母さん、眠れない夜にはいつも 遠くの方で淡く光っていたそれを 私にはまるで手の届かないそれを 一粒拾ってきては聞かせてくれた お母さん、私はそれから夜、には 月の満ち欠けを間違えることなく 眠りの奥深くに閉まっておいて、 ひつじのかわりにしていました。