すべての魂は夜、癒される/いとう
 
泣いていた
「もう、疲れた」と言いながら
魂ごと
僕にさしだして

原罪の彼方で僕たちは救いを求めて
赦されない悲しみを持て余しながら
神様せめて
救われない魂に癒しをください
抱き合って
体だけでも満ち足りた
一夜限りのわずかな眠りさえも
神様
あなたの前では
罪に問われるのでしょうか

改札の前で僕たちは手を離す
君が寂しそうに
「ありがとう」と微笑むから
僕はかけるべき言葉をみつけられない
空気は相変わらず澄んでいて
明け始めた空には雲ひとつなく
僕たちは世界に馴染めないまま
美しい朝に取り残され
いつもの生活がそれぞれに訪れるのを
離された手と手の距離で理解している
救われない魂が
赦されない悲しみのなか

癒し合ったことを
感じ続けながら
胸に秘めながら
立ち尽くしている


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