人種差別を揺るがすもの。無邪気な情熱。/虹村 凌
 
しないだろう。
白人は黒人をコケにしつづけ、黒人は黄色を馬鹿にするんだろう。
黄色は白人に憧れつづけ、黒人に憧れ続けるのだろう。
それでも、無邪気な情熱を前にすると、何かが変わる気がするのだ。

俺が何かを出来るかといわれれば、そうじゃないのだ。
ただ、自分の中で何かが変わるのである。

相変わらず俺は韓国人が嫌いだ。韓国が嫌いだ。
言い聞かせるように、そう、まるで自分に思い込ませるように、
俺はそう言い続ける。思い続ける。

恐怖。
俺は未だにショーンを見ていないが、あいつが変わらずに帰ってきたら、
俺は韓国を、韓国人を、信じても良い気がするんだ。
ヒロトが兵役に行
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