28Y.5・29/木立 悟
 





 光から遠いところにあるものの影ほど長くなる。決してまちがいではない。自分がそうだ。長い影を持つ。このままではだめなのだと知っている。だが、光に近づけばいいのか。影の内の生きものを殺してまで、影の内でしか生きられないものを見捨ててまで自分だけが光に近づけばいいのか。そんなことはできない。できない。できない。自分は生きものたちに示してみせる。ここにとどまって。ここにうずくまり、泣いている自分の一部に、そむきあうものが同時になければならないことを告げてみせる。
ここにあるのは非の血、非の肉。他人と交わってはならない血。








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