桜並木の道を/こめ
 
すっかり暖かくなった風を感じ

嗚呼もう冷たい絶対零度の季節は終わったんだなと

しみじみ思い

人生の中で一番内容の濃い冬のことを思い出し

ゴミが入ったのか瞳から涙が流れた

目をこすっていると気が付くと

桜並木の道を一人だけで歩いていた

風に運ばれ桜の花びらが宙に舞った

僕はそれを手に入れようと

手を伸ばしたが結局

その伸ばした手をポケットに入れて

また歩き出した

桜は何故こんなにも人の心を裸にさせるのだろう

淡いピンク色の花びらが

僕の心を暖めた

悲しみで満ちた僕

出会いの季節は

僕には辛く切ない季節だった

僕は桜吹雪の中で

涙を流しながら

まだ先の明るい明日へ

歩いてむかっていた

桜並木の道をね

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