オレンジの枠外/a.u.i.
 
母はいちごの好きな父が好きで
いちごが好きでない父が好きでした
   コーヒー、
それですべてが帰ってゆく



差し込む西日
差し込めなかった何かがあったことを
誇りに思う
ガトーショコラを切り分ける午後に
左手に隠した年輪
   輪廻、そのときもあなたに会いたい



ざらめ砂糖に
足を引き渡したライダーのバイク音を背にして
彼岸花を数えた帰り道
センセイ
数式では解き明かせない数式を知っていますか



ひとつ
この窓から侵入した外気が
眠りに落ちるリズムに合わせて溶けてゆく
私たちはふたつでした



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