ただひとつの言葉/
長谷伸太
綺麗ね、とならんで毎日歩いた
これが、あの子の世界
キレーネがゆれて
キレーネがキレーネの蜜を吸い
キレーネに囲まれた
キレーネを歩き
キレーネを眺めると
キレーネがのぼり
キレーネが瞬きはじめ
キレーネの下にそっとすわって
キレーネを待つ
キレーネがすべてだった
母さんが一番最初に教えてくれたこと
手をつないで歩く帰り道
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