毎朝、新聞を読むためには/たもつ
 
して
ただ漫然と読む毎日だったが
この朝、私は新聞を新聞として読むためには
沢山の人の手から手へ渡ってくるものだということに気づき、
そして、新聞という商品の供給者側と消費者側との位置関係について
意識せざるを得なくなったのだ

よく焼けたトーストの耳をカリカリカリとかじりながら
そんな感慨にふけっているわきで
妻はその髪の毛をつまみ上げると
ティッシュぺーパーで丁寧につつんで
クマのイラストが入ったゴミ箱に捨てる
少々潔癖症の気がある彼女は
当然のごとく手を洗いに洗面所に向かった




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