桜の下には/LEO
桜の下には
死者が眠るという
桜を求め
通いし春は
いっときの
戯れにも似て
ああ
私が見たのは
この桜ではなく
あの桜でもなく
解せぬまま
散り急ぐ花弁に
幾度
春を送ったことか
狂い咲く桜に
舞い散る桜に
妖しくも美しい
横たわる亡骸
根も葉もないそれは
夢か幻
忘れてしまえ、と
何度いい聞かせても
この時分になれば
折り重なる
記憶の隙間から
花弁の囁く声が
私を誘う
物憂げに
小首を傾げ
不確かな
妖しさで
手招いて
桜の
下には
桜の
下には
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