雨の日にきみと桜を見る/haniwa
ぼくときみは中央公園に出かけた
とうめいなビニール傘をさして
昼の3時ごろだ
お弁当には遅すぎるし
宴会には早すぎる
そして雨
ぼくときみと
わずかな乗り遅れたひとたちだけの時間
しづかな雨と午後3時だった
桜は
桜はまるで灰色みたいだった
曇り空に侵食された
はたはたと雨がおちてくる
ビニール越しに見上げた
桜は
それでも咲いていた
わずかな人たちのために
開いている屋台は見当たらなかったので
ぼくはコンビニに行っておでんを買ってくる
そして一番小さな桜の木の下で
おでんと傘を交代しながら
ときおり思い出したように
灰色の桜をみる
いつかのきみの唇が
あざやかな紅だったことに思いをはせながら
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