浮雲終日行/河野宏子
ポエムが生活を横切ることがあります
最近増えてる気がします
たなびかないわたしの毎日を
理由もなくそそのかします
今朝もあわただしく流れました
飲むことを忘れていた珈琲にミルクが
今さら渦巻いてるデスク
真昼の窓から差し込む光に舞う埃のずっと上
モザイク、濃淡グレーの街に
影をおとしながら雲は春をながめて
落ちた椿の花びらでそこだけが紅く染まる庭
謝恩会に向かう女子学生の海老茶の袴
駅裏の廃虚では、冬に死んだ野良猫が腐りはじめ
モザイク、濃淡グレーの街に
影をおとしながら雲は春をながめて
浮雲に抗うように在るわたしの一
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