蜂蜜酒に 音のない音/a.u.i.
 
空でばらけたピアノ音
ひとつの音からさみどりの雨たち
愛したその指で描かれた
もう会えない


朝色が鎖骨の赤をカモフラージュする
蜂蜜酒に光
フローリングに落ちた黄金色
染まる猫の毛
おまえ、いつから染めたんだい?
届かずにかすった中指と
カーテンを境に
黄金猫が白猫へ


温もりを右手ですくいとってから
床に耳あて
カーテンの揺れるリズムで
目を閉じてゆく
少しだけ漏れた眠りの挨拶


言えずに飲んで
微調節する重ねた温度
痛くないよ お母さん
生まれてきたのは私の意志だもの
信じてると言うことのが
どれほど痛むか、
揺らされた恥骨に花
あなたの名にしがみついて
蜂蜜酒越しに雨
傘がこの街の表情を形成していた
雨音だけに浸りたい
私と息を止めてくれますか


電話がずっと鳴ってるの
伸ばした指の先に屋上
鎖骨に赤
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