薔薇と らっきょう/千月 話子
「お土産は、何がいい?」と
聞かれたものですから
私、何とはなしに
「らっきょう」と答えたの
お父様とお母様が夕食後に奏でる
小気味良い音が好きなのです
ぽり ぽり ぽりり
あなたは、三日後に
丸い透明な器に入った
甘酢に踊る らっきょうを
三箱ほど買ってきて
和紙の手提げに入れて下さった
「一日四粒 お食べね。」
それは、魔法のように染みていきます
私の 白い体に
持ち運び 揺れるころころが
お食べね。お食べね。と
オウム返しのように 更に染みていきます
私の 小さな細胞にまで
翌朝には 真新しい
薄桃色の小花をあしらっ
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