桜の下で振り返ってはいけません。空をあおいで笑いなさい。/逢坂桜
 


今年もまた、

桜が咲く。

「誰が為に」などと

言うつもりはないが。

去年までがそうだったように、

来年もまた、咲くのだろう。

二度と見ることはかなわない

あの桜も咲いているのか。

この桜でなぐさめられるほど

安い感傷ではないけれど、

表面だけでも

春をよろこぼう。

この桜さえも、

なつかしく思い出す日が

来るのかもしれないのだから。

春が来たことを

桜が咲いたことを

心にとめて

微笑もう。


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