用事/
こしごえ
陽子は、すっと敷居をまたぎ
玄関を通りぬけ門をくぐり
香気ある光の朝にあいさつをした
罪とはいつか
姿なく大地に影をおとすような
色なく野原に咲きほこるような
清々しい朝日に硬直してくらむ
私は、
約束の日まで鎖国をしている ぬけ殻に
蝶結びをして朝すがら海を見にいき
黒海の無意識で銀色に丸まりながらいつまでも太陽を見送る。
日に透けた そよ風があいさつをかえした
彼女は、すっと歩き始めた
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