前時代/竜一郎
 
鍬が土を耕す音が どこかから聴こえる
(ざっくざく) (ざっく)
長靴が玄関に放って置かれている
雲雀はもう鳴かない
当て所もなくさまようだけが
僕らの権利になる日が近い と
ふらついたヒヨコが宣告した。
養鶏場を爆破して逃げてきたんだ
と語った彼(オス)は
親を巻き添えにしなくちゃ
いけない不自由さを嘆き
呪った 呪われた世界は
それでも 歯車を軋ませて
動いて動いて動きつづけた

いつか歯車が噛み合わなくなったなら
あの歯車群は欠陥だったんだ
とか云われるのだろう
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