滲んでいった夜について/いとう
 
まっすぐな帰り道が見えなくなると
穴という穴からノームが這い出て
ら、るほ、ら、ら、るほ、
ダークダークノームダーク。(あれるっちぇんど)
君たちの手に掴めるものはわずかしかない
ら、るほら、らる、ほらら、るほ、
本当にわずかしかないんだよ
驚くほど何も知らない君たちにとって

世界は(世界さえ危ういのだが)
目を閉じている場所にこそあって
君、君たち。(あれるっちぇんど)
君たちの目の前に広がるこれは
世界ではないのだよ
夜が(夜というものがあるのならば)
どれほどの暗闇で満たされていたとしても
(ら、るほ、ら、ら、るほ、)
君、君たちの夜は
さらに果てしない
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