「ラストデイズ」/河野宏子
 

からっぽの子宮を抱えたまま
気に入らない髪型のまま
あたしは何でか詩人になった
やっぱり伝説は作れそうにない
あんたの奥さんみたく
さっぱり伝説は作れそうにない
あんたのラストデイズを追いこして まだ
生まれて死んでいってる序の口、渇かない
彼女のあかい口紅

百千万劫難遭遇、生きてる
彼女のつま先にも今日の泥がこびりつく

あたしまだ そこまでさみしく ないみたい
あほな歌やわ、
四月のはじめに
桜がもう散ってくる
ジャックパーセルで
生暖かいぬかるみを歩く

死から誕生までの、孤独な旅
あんたは、今、どこらへんに居るの?
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