グレープフルーツ、少女の抜け殻/夕凪ここあ
少女の一瞬揺れる甘い香は
触れてはいけない儚い首すじ
涼しげな音を残したラムネの恋は
置いてきたあの淡い夏の日
水を張り呼吸もできない
金魚を放つ 嘘も知らない少女の右手
昨日にも明日にも君にも触れない
未熟な手のひら桜の匂い
朝と夜の区別のつかない空の少女の
境界線のうつろなしましま
放課後夕暮れの隙で脱ぎ捨てる
チョークの匂いの 少年と少女の戯れ
一番星が夜の合図だった
幼い日を忘れた今は空を見ずとも
あの日のしっぽをなびかせる
夢のしじまは君のもとにも私のもとにも
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