優しい歌を/
北野つづみ
六月の雨のように優しい歌を女は
歌いたい と思った
穏やかな雨は
静かに大地を潤し
木々に柔らかな緑の葉を育てる
埃を払い
全てを清め
紫陽花の青を鮮やかにする
八月の情熱を胸に秘め
枯葉の舞う十一月の寂しさを背負い
凍てつく二月の絶望を越えて
明日を
見つけることができるように
腕に吾子を抱いて女は
六月の雨のように
どこまでも優しい歌を歌いたい
と 思った
2006・2・16
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