ゆきだるま/ukiha
。
ところが男の子の足の早いこと早いこと。
あまりに早くてよく見えないのですが、なんだか風変わりな走り方をする子で、
まるで体を横たえてごろごろ転がっているようにも見えるのです。
「ほら、つかまえた。」
わたしはあっという間につかまってしまいました。
今度はわたしが追いかける番です。
走るのが苦手なわたしは、雪に足を取られながらも必死で男の子を追いかけましたが、
大きな樫の樹のところで、ついに見失ってしまいました。
「ねえ、どこ?」あたりはしーんと静まり返り、
まるで最初から誰もいなかったみたいに何の物音もしません。
「どこにいるの?」わたしはもう一度大きな声で尋ねま
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