静物視/ミクタギラッカ
 
絡まった糸のようなものを丁寧に解いて
――空間は 夏だった
自分ひとりのおそろしさ
夏は くろい影だった

南国の道もまた
ここまで来ていて
その裏側で
家のベランダが
しっとりと悲しみ

静物を追いかけて
それでも髪はのびた
今の時間が洗われ
一切が後退するとき
逆光のなかの
静物

そのとき 手は黒く。

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