静物視/
ミクタギラッカ
絡まった糸のようなものを丁寧に解いて
――空間は 夏だった
自分ひとりのおそろしさ
夏は くろい影だった
南国の道もまた
ここまで来ていて
その裏側で
家のベランダが
しっとりと悲しみ
静物を追いかけて
それでも髪はのびた
今の時間が洗われ
一切が後退するとき
逆光のなかの
静物
そのとき 手は黒く。
戻る
編
削
Point
(2)