青空の神話/まどろむ海月
は五月にしてはあまりに寒いある日、
緑の丘にねころがって
空をながめていたことがありました。
すると、私の胸のあたりから、
白い人影が立ち上がると(それは帽子の形からしても
ぼくの分身に違いありません)、
ゆっくりと階段を上るように、何処までも何処までも、
深い青空に消えていきました。
青空の高みに一本の青く透きとおった木が生えており、
どうやら彼はその背の高く細い木に
この話を聞いてきたようなのです。
目覚めるとたしかに私の分身は、私の心の中で私に、
全てを語ってくれたようなのです。
その木というのが、どうも
あなたであるような気もしてならないのですが、
それはいったい、まるで違ったことであったのでしょうか・・・
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