始発列車/服部 剛
 
筋書きのない明日へと走っていく 

朝焼けの空から 透けた(誰か)が 
旅を始めた車窓の中の私を見ている 

これから何処へ連れて行かれるのか 

どんな私が創られていくのか 

卵から孵り
深海を泳ぎ始めた魚のように 
親から巣立ち 
空へと必死で羽ばたく鳥のように
弱さを振り払いながら越えてゆく 
日々の壁の向こう側に 
一体何が待っているのか 

列車は朝の光を受けながら 
時の線路を走り抜けていく 
旅人を乗せた行き先の知らない列車を見送り
遠のいてゆく桜並木を背後に残して 

僕の想いを運ぶ
何億マイルの果てしない旅は 
逃げる為ではなく 
立ち向かう速さで 
新たなる日々へ、疾走してゆく 







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