やまびとの散文詩(一) /前田ふむふむ
歌が流れているが、一日中、同じ曲が、厭きることなく
繰り返し流れている。
わたしたちは、その様子をみて、問いただすことを
あえてしなかったが、むしろ、問いただすことが
不自然なほど、彼らは幸福感に満ち満ちていた。
しかし、その背中には、あのふるさとの山々の
優しさは見えなかった。
俄かに、小走りにやって来る失語症の子供の手から、
赤々とした炎がともり、それをわたしたちに差し出すが
わたしたちの眼から涙がこぼれて、暖かい無垢の炎を
おもわず消してしまう。
続く。
続きは、やまびとの散文詩(2)(3)で
すでに掲載してあります。
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