まごころ屋/クリ
 

其れを届けたと 言うけれど

私には貰った覚えがちっともないし

納戸まで探してみたが痕もない 夕べ

熟すほどに酸(す)い 果実は密かに割れる

慕うばかりに過(あやま)つ 償いと同じほどに 嘯(うそぶ)く



其れを私に呉れたから と言う君よ

呉れたから そこで口を噤むのだろうか

畳の目の数だけ根問(ねど)いを続ける幼子

確かなほどに堪え難い 病葉(わくらば)はただ埋(うず)もれる

与うばかりに請う 幽かさのほどに血を流す



掌(たなごころ)の 玉葱のような 真心

何故(なにゆえ)に涙は 君の頬を 伝うのか



                                  Kuri, Kipple : 2002.05.16
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