桜はきれいであるか。/青色銀河団
うか。
桜は本当にきれいなのだろうか。
春の訪れの象徴であるとか、散り方が潔いとか文化的な文脈は抜きにして、目に見える姿だけを鑑賞してみる。
まず、葉が出る前に花だけ咲く植物ってあまりないような気がする。しかもあれほど大量に花を咲かせる生物学的な必然性があるのだろうか。あまり他の植物が花を咲かせない早春にあれだけの花を咲かせるのは、ある種異様な気がする。
イメージではなく、実際目に映った姿を見て、桜はすごくきれいかと自問してみる。
ぼくは特別にそれほどきれいだとは思わない。一つ一つの小さな花を見ても全体を見ても特別にすこぶる美しいわけではないと思う。
ただ桜は人を騙すのだ。
自身の回りにまとった朦朧としたイメージで。風に吹かれは花びらを散らし、自分の輪郭をあいまいにぼかしながら人を騙すのだ。
まあ今年もそんなふうにして結局は騙されてしまうのだけれど。
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