時と差/a.u.i.
朝 曇り
この窓はblue
寂しくなる、
そうして一言は部屋に染み渡ったのでした
こうしてあのときの一言が
雨の日の漣みたいに
交差点を傘が彩り
沈黙はいつもこうしてこの街を見下ろす
あの傘の下にも この傘の下にも
きっと言えなかった言葉があるのでしょう
詩をかく私は無残にも、
誰かを愛せなくなっても
この手だけは止まることのないように
雨と言葉に想定外の時差
あなたの顔が思い出せない
いつかに握り締めたものを引き連れて歩く
繋いだあの手も 繋がないこの手も
あなたの手なんだとわかるときまで
冷めきらないカプチーノの背後に
少し笑う
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